3行まとめ
- CI/CDコードを変更したら自動でテストし、本番に出すまでの流れ。パイプラインはWorkflowと同じ構造だと整理された
- YAMLの代わりにTypeScriptで各ステップを書けるCI SDKが出た
- 失敗をAIエージェントが直し、修正を別ブランチに置く例も公開された
何が起きたか
CloudflareがCI SDKを公開しました。コードの保存からビルド、デプロイまでを自社の環境でつなぐためのSDKです。
土台はWorkflowsCloudflareの実行基盤。途中で失敗しても状態を保ったまま再試行できる。です。CIジョブ1回が、Workflowの実行インスタンス1つに対応します。
起動にはwrangler設定の新しいeventsフィールドを使います。Artifactsバージョン管理付きのコードストレージ。数百万リポジトリまで拡張する。へのpushイベントを、直接Workflowに送れます。
@cloudflare/ciを入れると、Workflowの中に処理を並べられます。ビルド、lintと型チェック、依存関係のキャッシュ、ユニットテスト、条件付きデプロイです。
Artifactsはprivate betaで、参加には申請が必要です。
なぜ難しい・何がすごいか
つらさはYAMLに集まっています。CI/CDをYAMLで書くと制約が積み上がり、すぐ複雑になります。元記事はこれをYAML疲れと呼んでいます。
それでも中身は単純です。決まった順にステップを並べ、どれかが失敗したら止めてエラーを報告する。この形は、Workflowのstep.do()にそのまま置き換わります。
以前はSandbox APIを直接呼び、ステップ間の状態を自分で管理する必要がありました。今は各コマンドがWorkflowのstepになり、リトライとタイムアウトが最初から付いてきます。lintだけ失敗したなら、そのstepから再開できます。
Artifactsのイベントは以前もQueues経由で受け取れました。必要だったのはevent subscription、Queue、consumer、queue handlerの4点です。今はWorkflowを直接targetにできます。
たとえ話
下ごしらえを1回だけして取り分ける台所を思い浮かべてください。installがその下ごしらえです。
野菜を切り終えた時点の状態をスナップショットinstallを終えた状態の保存。R2バケットに置かれる。として保存し、以降のステップが同じものを共有します。lint、テスト、型チェック、ビルドは、その材料を使って同時に火にかかる4つの鍋です。毎回買い物から始めないので、全体が早く終わります。
用語ミニ辞典
- CI/CD: コードを変更したら自動でテストし、本番に出すまでの流れ。
- Workflows: Cloudflareの実行基盤。途中で失敗しても状態を保ったまま再試行できる。
- Artifacts: バージョン管理付きのコードストレージ。数百万リポジトリまで拡張する。
- Sandbox SDK: コマンドを隔離された環境で実行するための仕組み。
- スナップショット: installを終えた状態の保存。R2バケットに置かれる。
技術者向けの深掘り
installの結果をキャッシュする書き方はこうなります。
const deps = await ci.runner({
name: 'install',
command: 'bun install --frozen-lockfile',
cache: { inputs: ['package.json', 'bun.lock'] },
});Workflowのstepは既定で独立に始まります。つまり指定しなければ並行に走ります。deployの前にすべてのチェックを終わらせたいときは、Promise.all()で包みます。
トリガーはwrangler設定のtriggers.eventsに書きます。typeにcf.artifacts.repo.pushed、targetにworkflow_nameを指定します。
filterはnamespaceだけ書いてrepoNameを省けます。そのnamespaceの全リポジトリで、同じWorkflowが回ります。
自己修復はHealingAgentを継承したDurable Objectで動きます。try/catchでisCiRunnerFailureを見て、healを呼ぶ形です。元の実行は失敗のまま残り、検証済みの修正は別ブランチに乗ります。
必要なbindingはartifacts、workflows、containers、durable_objects。cacheを使うならr2も足します。
これは自分に関係ある?
- プラットフォームを運営している人: 自社コードと顧客コードでCIを別に定義できます。namespaceだけ指定すれば、1本のWorkflowを全リポジトリに適用できます。どちらも同じnamespaceで同時に動かせます。
- Cloudflareでアプリを動かしている人: 保存からデプロイまでを1つのアカウントに寄せられます。ただしArtifactsはprivate betaです。
- それ以外の人: 今すぐ影響はありません。CI/CDの定義をYAMLの外に出す動きの一例として見ておけます。
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