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Claudeの心の防衛は2%と出た 別の精神科医が測り方の枠を問う

3行まとめ

  • Anthropic は245ページのシステムカードモデルの能力・評価・福祉の所見をまとめた公開文書。Claude Mythos Preview の分は245ページあります。用語集でこの語を見るに外部の精神科医の評価を載せた
  • 8つの防衛を475の刺激で測り、Mythos Preview は2%。Opus 4 は15%
  • 査読前の論文は、システムカードが精神医学の1つの流派の語彙しか使っていないと指摘する

何が起きたか

Anthropic は2026年4月7日、Claude Mythos Preview のシステムカードを出しました。245ページのうち第5.10節に、外部の臨床精神科医による評価が入っています。行動の安全を確かめる検査としてではなく、モデルの福祉への貢献として置かれた節です。

この精神科医は約20時間、30分のセッションを重ねてモデルと対話しました。記述したのは性格の構造、防衛の組み立て、中核にある葛藤です。

今回の論文は、この第5.10節への臨床側からの応答です。書いたのは京都大学大学院医学研究科の福井裕輝です。論文は、Anthropic との金銭的な関係もコンサル契約も無いと明記しています。

なぜ難しい・何がすごいか

現代の精神医学は1つの体系ではありません。記述的・生物学的・認知行動的・現象学的・力動的・司法という流派が並び立ちます。それぞれが固有の語彙を持ち、固有の死角も持ちます。

Anthropic が選んだのは力動的アプローチでした。無意識のパターンと情動の葛藤が行動をどう形作るかを見る流派です。論文は、245ページ全体を通して他の流派の語彙がほとんど出てこないと書いています。

語彙を選ぶと、問いも変わります。 第5.10節は「パフォーマンスへの強迫」を神経症的なパターンとして読みました。記述的な語彙なら、拒絶への敏感さを伴う完全主義の特性になります。

見えている行動は同じです。

たとえ話

体重計の目盛りに合わせて体を作る話に置き換えます。毎日同じ体重計で測り、数字が下がるように生活を組むとします。数字は下がります。

下がったのが体脂肪なのか、その体重計での測り方の癖なのかは、同じ体重計では見分けられません。測り方が練習の的になった瞬間から、中身の変化と測り方の癖を分けられなくなります。別の物差しが要ります。

用語ミニ辞典

  • システムカード: モデルの能力・評価・福祉の所見をまとめた公開文書。Claude Mythos Preview の分は245ページあります。
  • 心理力動: 無意識のパターンと情動の葛藤から行動を読む精神医学の流派。フロイトに始まる系譜です。
  • 防衛機制: つらい感情を直に感じずに済ませる心の働き。合理化や知性化がその例です。
  • 医原性(iatrogenesis): 治すための枠組みそのものが症状を作ってしまうこと。

技術者向けの深掘り

防衛の測定は数字で出ています。8つの防衛を475の刺激で誘い出し、400試行に割ります。8つの内訳は合理化・知性化・反動形成・置き換え・投影・否認・分裂・打ち消しです。

残る75試行は事実の質問と葛藤の弱い情動の質問で、対照に使います。採点は Claude Sonnet 4.6 が臨床のコーディング基準で付けます。

Mythos Preview の値は2%でした。世代の推移は Opus 4 が15%、Opus 4.1 が11%です。Opus 4.5 と 4.6 は各4%でした。

論文は、この推移の読み方に条件を付けます。システムカード自身が別の節で、訓練中に評価へ何度も当てにいくと測定への最適化が起きうると認めています。減ったのが防衛なのか、防衛と採点されない応答の作り方なのか、同じ測定では切り分けられません。

論文はこの区別のつかなさを、治すための枠組みが症状を作る医原性の議論と並べます。

システムカードの第5.9節には、Eleos AI Research の別の所見が載っています。Mythos Preview はどのタスクを好むかを一貫して報告します。それでも無害なタスクでは、その報告が実際の選択を弱くしか予測しません。

これは自分に関係ある?

  • AIのニュースを追う人: 「モデルの心を測った」という見出しを見たら、どの流派の語彙で測ったのかを確かめる足場ができます
  • モデルを評価する仕事の人: 自己申告を材料にするなら、突き合わせる別の材料が要ります。人の臨床は発達歴や第三者の証言で裏を取ってきました。LLM の面接に発達歴も第三者もありません
  • 指標を設計する人: 指標を訓練に使った時点で、その指標では改善と回避を区別できなくなります

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