3行まとめ
- 195TBの流出データにMicrosoft・Amazon・Ciscoなどの認証情報
- 3月のわずか40分間、汚染版のLiteLLMAIを使ったソフトウェア開発を楽にするオープンソースのツール。から抜き取られた
- 起点は検査ツールTrivy脆弱性を検査するツール。今回の連鎖の起点として汚染されました。の汚染。連鎖で被害が広がった
何が起きたか
AI開発ツール LiteLLM の汚染版が出回り、使った組織の認証情報が抜かれました。セキュリティ企業のCloudSEKとHudson Rockが火曜と水曜に公表した内容です。
抜かれたのはクラウドの鍵、リポジトリのトークン、SSH鍵、Kubernetesのシークレット。パッケージ公開用の資格情報、環境変数、AIプロバイダのキーも含まれます。CloudSEKは、これらで2,500を超える組織に侵入できる状態だったとしています。
汚染版が置かれていたのはPythonの公式配布所PyPIPythonのライブラリが公式に配布される置き場。でした。抜き取りが起きたのは3月の40分間です。Hudson Rockが入手して解析したファイルは195TBありました。
名前が挙がった組織には、Microsoft、Amazon、Cisco、Samsung、Salesforceが含まれます。
なぜ難しい・何がすごいか
40分という短さと、被害の広さが釣り合っていません。いまのソフトウェアが、他人の作った部品を大量に取り込んで動いているからです。
取り込む作業を自動でこなすのがCI/CDパイプラインコードの検査から配置までを自動で流す仕組み。動かすための鍵を抱えています。です。検査、組み立て、配置を機械が流します。その機械は仕事のために、クラウドやデータベースの鍵を手元に置いています。
汚染された部品が一度そこで動けば、鍵はまとめて持ち出せます。両社の集計では43万4千のパイプラインが該当しました。
そして、抜かれた変数の多くには会社名もドメインも残っていません。誰の鍵なのか、調べる側にも分からない。無数の組織が自分の露出に気づかないまま有効なシークレットを置き続けている、とHudson Rockは述べています。
たとえ話
街の合鍵屋を思い浮かべてください。近所の家も会社も、鍵の複製はその店に頼んでいます。ある日、店の機械に細工がされました。
以後40分だけ、削った鍵の形が裏で記録されます。
細工に気づかない客は、記録された鍵を受け取り、いつも通り自分のドアを開ける。合鍵屋が狙われた理由は、店に金があるからではありません。街中の鍵が集まる場所だからです。
用語ミニ辞典
- LiteLLM: AIを使ったソフトウェア開発を楽にするオープンソースのツール。
- サプライチェーン攻撃: 標的が使う部品や取引先を汚し、そこを経由して侵入する手口。
- CI/CDパイプライン: コードの検査から配置までを自動で流す仕組み。動かすための鍵を抱えています。
- PyPI: Pythonのライブラリが公式に配布される置き場。
- Trivy: 脆弱性を検査するツール。今回の連鎖の起点として汚染されました。
技術者向けの深掘り
汚染された4本のパッケージには、共通のコードが仕込まれていました。感染した端末のメモリにアクセスして中身を集め、攻撃者の用意した経路へ送り出す動きです。
LiteLLMの該当バージョンは1.82.7と1.82.8。同じ攻撃にはKICSとTelnyxのPython SDKも巻き込まれています。犯行声明を出したのはTeamPCPで、研究者側もおおむね裏付けています。
連鎖の起点はTrivyです。CloudSEKによれば、Trivy側は自動化用トークンをローテーションしたものの、失効までは完了させませんでした。この20日間の隙に、攻撃者はTrivyを使う第三者のビルドへ悪意あるコードを送り込めました。
対処として両社が呼びかけたのは、資格情報の全面的な入れ替えです。Hudson Rockが名指ししたのは、クラウドキーとKubernetesのサービスアカウントトークン。GitLab/GitHubのPATも対象に挙げています。
ログと外向き通信の監査も求めました。
これは自分に関係ある?
開発の現場にいる人には、自社のパイプラインが該当バージョンを踏んだかどうかが分かれ目になります。持ち主を特定できない鍵が大量に残っている以上、リストに名前がないことは無事の証明になりません。
対処が行き渡っている保証もありません。入れ替え済みと答えた米大手1社があります。Beaumontが開示ポリシーの認める範囲で鍵を試すと、ほぼすべてが有効でした。
ニュースとして眺めるだけの人にも接点はあります。名前が挙がったのは、金融、製造、放送、物流を支える側の組織です。
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