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5.42TBが17.6TBに見える 廃業した会社のRAIDにドライバを書いた半日

3行まとめ

  • 廃業した Drobo複数のハードディスクをまとめて1つのドライブに見せる装置。作った会社は2023年に清算へ進んだ用語集でこの語を見る の管理ソフトが、Rosetta 2 の終了で動かなくなる
  • 容量が5.42TBのはずが17.6TBと出る原因を、Claude と半日追った
  • SIPシステム整合性保護。OS の重要部分を書き換えから守る仕組み。切れば未署名のドライバも動くが、防御も落ちる用語集でこの語を見る を切る前提ながら、動くドライバとアプリが完成した

何が起きたか

個人ブログ fetzu.ch の筆者が、Claude と組んでドライバを1本書き上げました。対象は14年使ってきた RAID 装置「Drobo 5D」。作業時間は半日ほどです。

Drobo を作った会社は2023年に清算へ進み、もうありません。装置は USB 3 でつなげば今も読み書きできます。ただし状態を見る管理ソフト Drobo Dashboard が、新しい macOS で動かない。

しかも macOS 27「Golden Gate」は Rosetta 2 に対応する最後のリリースです。きっかけは Hacker News の投稿でした。Windows 専用の無名な HP プリンタ向けに Claude が macOS ドライバを書いた、という話です。

筆者は体調を崩して家にいた。過去5世代分のドライバと管理ソフト、リリースノートを渡し、原因の特定と解決策を頼みました。

なぜ難しい・何がすごいか

正面の入口が閉じていました。macOS には SCSITaskLib という、アプリから直接ストレージにコマンドを送る仕組みがあります。ところが呼び出すと kIOReturnUnsupported が返る。

答えは Apple 自身のヘッダに書いてありました。この仕組みが面倒を見るのは「カーネル内にドライバが無い」機器と光学ドライブだけ。Drobo は Apple 標準のドライバがすでに掴んでいるので、対象外です。

USB インターフェースは1つ、LUN も1つ、どちらも占有済み。裏口もない。

そこで観察に切り替えます。管理ソフトがまだ動く2017年の iMac が手元にありました。そこで動くドライバが装置と何を話しているかを読み取れば、仕様書の代わりになる。

たとえ話

部品の供給が終わった家電を思い浮かべてください。回路図は手に入りません。でも、まだ動くリモコンが1台ある。

そのリモコンが本体に送る信号を横で聞き取れば、同じ信号を自分で作れます。今回やったのはこれです。装置を分解する代わりに、装置と話す言葉を書き取りました。

用語ミニ辞典

  • Drobo: 複数のハードディスクをまとめて1つのドライブに見せる装置。作った会社は2023年に清算へ進んだ
  • kext / dext: macOS の機器用ドライバ。kext はカーネルの中に入る旧方式、dext はカーネルの外で動く新方式
  • SIP: システム整合性保護。OS の重要部分を書き換えから守る仕組み。切れば未署名のドライバも動くが、防御も落ちる
  • entitlement: Apple が発行する権限の札。これが無いとドライバは機器に触れない
  • ESA: 今回解読した、Drobo が自分の状態を報告する管理プロトコルの呼び名

技術者向けの深掘り

抜け道は kext のユーザークライアントでした。これは普通の IOUserClient なので、バイナリからディスパッチ表を丸ごと取り出せます。

読み取りはセレクタ2の sGetESA今回解読した、Drobo が自分の状態を報告する管理プロトコルの呼び名用語集でこの語を見るModePage で、スカラ2個を渡すと1308バイトの構造体が返る。書き込みはセレクタ3。呼ぶのは2だけに決めました。

IOKit が引数の個数とサイズを表と突き合わせて先に弾くため、間違えても実行前に拒否されます。管理ソフトのデーモンが数秒ごとに出しているのと同じ呼び出しです。

つまずいたのはその後です。dext のバンドル構成、命名、コード署名、entitlementApple が発行する権限の札。これが無いとドライバは機器に触れない用語集でこの語を見る。arm64 のはずが arm64e で焼かれていたビルドもありました。

Claude は途中で切り上げを勧めました。原因は entitlement ではなく IOClass だと言い直し、それも外れた。最後は12個の候補を二分探索で4回に絞って当てています。

3つ前の私の「決定的な」結論は、二重に間違っていました

Claude はそう述べています。

これは自分に関係ある?

  • 古い機器を手放したくない人: これは手順書ではありません。筆者自身が「合法かどうか分からない」「ハードウェアハックの深い知識はない」と断っています。SIP を切る必要があり、公証も受けていない。筆者も予備の Mac Mini で試しています
  • ドライバを書かないエンジニア: 半日の中身は、プロトコルの解読よりも署名やバンドル構成で消えています。AI に任せられる範囲と、人が粘って判断する範囲の境目がそこにある
  • 筆者の総括: 自力では無理、この時間では絶対に無理。ただし進め方が任せきりすぎて、学びは残らなかった

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