3行まとめ
- WebGLプラグインなしでブラウザに3D・2D描画を持ち込む JavaScript の仕組み。 の土台である OpenGL には、もう更新の予定がありません
- それでも全ブラウザで動き続け、既存のコードが止まる筋道はありません
- 新しい機能は後継側に積まれます。選ぶ基準は用途で分かれます
何が起きたか
WebGL は現役のまま、更新の止まった標準になりました。プラグインなしでブラウザに3Dを持ち込んだ立役者です。
策定したのは Khronos GroupWebGL を策定する標準化団体。複数企業の合議で運営されています。。ロイヤリティフリーのオープン標準です。Apple・Google・Microsoft・Mozilla がワーキンググループに入っています。
中身は OpenGL ES携帯機器向けに作られた描画規格。WebGL の土台になっています。 という描画規格をウェブに移したものです。WebGL 1.0 が OpenGL ES 2.0 に対応します。WebGL 2OpenGL ES 3.0 相当の機能を足した更新版。WebGL 1 と後方互換です。.0 は OpenGL ES 3.0 です。
そこへ後継の WebGPU が主要ブラウザに揃いました。役目が重なる仕組みが2つ並んだ状態です。
なぜ難しい・何がすごいか
「終わった」と「動き続ける」が同時に成り立っています。分かりにくさはここに集まっています。
土台の OpenGL には今後の更新予定がありません。新しい機能が WebGL に入る道は、事実上閉じました。
一方で Khronos は、ワーキンググループが標準とエコシステムの進化を積極的に進めていると書いています。看板を下ろす気配はありません。
この2つは別のことを言っています。仕様に新機能を積む作業と、動く状態を保つ作業は違います。
止まらない根拠もあります。WebGL 2 は WebGL 1 と完全な後方互換を持ちます。書いたコードが明日動かなくなる道筋は用意されていません。
たとえ話
道路の付け替えを思い浮かべてください。
新しい高速道路が開通しても、旧道はすぐに封鎖されません。舗装も信号も維持されます。通行に支障はありません。
変わるのは投資先です。新しい設備は高速道路の側にしか付きません。WebGL がいるのは、この旧道の位置です。
用語ミニ辞典
- WebGL: プラグインなしでブラウザに3D・2D描画を持ち込む JavaScript の仕組み。
- WebGL 2: OpenGL ES 3.0 相当の機能を足した更新版。WebGL 1 と後方互換です。
- OpenGL ES: 携帯機器向けに作られた描画規格。WebGL の土台になっています。
- GLSL: WebGL でシェーダーを書く言語。GL Shading Language の略です。
- Khronos Group: WebGL を策定する標準化団体。複数企業の合議で運営されています。
技術者向けの深掘り
WebGL 2 に入ったものを見ると、到達点の形が見えます。
加わったのは次のものです。
- 3Dテクスチャ、サンプラーオブジェクト
- Uniform Buffer オブジェクト、Sync オブジェクト
- Query オブジェクト、Transform Feedback オブジェクト
拡張だったものもコアに昇格しました。
- Vertex Array オブジェクト、instancing
- multiple render targets、fragment depth
取得はコンテキスト名で分かれます。webgl2 を試し、無ければ webgl に落とす形です。古いブラウザには experimental-webgl という名前も要りました。
もうひとつ、ブラウザが対応していれば動くとは限りません。GPU 側の対応も要ります。S3 Texture Compression が Tegra 系のタブレットでしか使えないのは、その一例です。
Firefox には webgl.min_capability_mode という設定があります。仕様が求める最低限の機能だけに絞れるので、どの端末でも動くかを確かめられます。
これは自分に関係ある?
- ウェブを見るだけの人: 変わることはありません。いま動いている3Dのサイトは、これからも動きます。
- WebGL のコードを持っている人: 急いで書き換える理由はありません。後方互換があり、全ブラウザで動きます。ただし性能や機能が足りないと感じているなら、その不足はもう埋まらないと考えて動く時期です。
- これから3Dを始める人: 用途で分かれます。既存のライブラリと解説の厚みを取るなら WebGL、GPU での計算まで見据えるなら後継側です。
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