3行まとめ
- 2009〜2014年の短縮リンク657,607本を2026年8月に全部たどった
- クロールできた655,178本のうち76.7%は開くページを返さなかった
- 消えたのは個人ブログや地方紙。大手プラットフォームは生き残った
何が起きたか
マケドニアの短縮URL長いURLを短い別のURLに置き換える仕組み。元のURLとの対応表はサービス側が持ちます。サービス「0.mk」が、17年前のリンクの生死を数えました。2009年から2014年に作られた短縮リンク657,607本を復元し、2026年8月に行き先を全部たどっています。
安全にたどれた655,178本のうち、開くページを返したのは23.32%でした。51.24%は接続そのものができず、25.44%はHTTPエラーを返しています。4本に3本が読めません。
0.mkは2009年に3人の趣味として始まり、2014年に運営費が賄えず閉じました。17年後、メンバーの1人が古いバックアップをディスクから見つけます。復活とこの調査は、そこから始まりました。
なぜ難しい・何がすごいか
「開いた」は「残っている」を意味しません。ログイン画面も、広告だけが並ぶドメインも、「このコンテンツはありません」の案内も同じです。サーバーは正常に応答します。
生存率23.32%は、実態より甘い数字です。
数え方を変えても結論は動きません。657,607本の記録には同じ行き先への重複が162,826本あり、宛先を1件ずつ数え直すと494,781件になります。それでも開かなかったのは78.7%でした。
403や429を返したURLは29,663件あります。これはページが消えた証拠になりません。クローラーを弾いただけの可能性があるので、調査側は「消えた」と断定せず「開かなかった」と書いています。
たとえ話
引っ越したあとの家に、表札だけが残っている場面を思い浮かべてください。呼び鈴を押せば音は鳴ります。ただ、出てくるのは別の住人か、誰もいません。
音楽サービスのPureVolumeは終了しました。それでもドメインは生きていて、653件の宛先のうち633件がページを返します。一方、Facebookの写真配信ドメイン(fbcdn.net)は789件の宛先すべてが開きませんでした。
用語ミニ辞典
- リンク切れ(link rot): 昔は開けたURLが、時間とともに開かなくなる現象。
- 短縮URL: 長いURLを短い別のURLに置き換える仕組み。元のURLとの対応表はサービス側が持ちます。
- 404・403・429: HTTPの応答コード。404はページが見つからない、403は拒否、429はアクセス過多での遮断を意味します。
- DNS: ドメイン名をサーバーの所在に変換する仕組み。ここで失敗するとページには到達できません。
技術者向けの深掘り
クロールの条件はこうです。2015年1月1日より前の全レコードを対象に、リダイレクトは5回まで追跡しました。接続失敗は別のネットワークから再試行しています。
集計は2xxと3xxを「開いた」と数え、HTTPエラーは分けて報告しています。ローカルアドレスや危険な宛先には接触していません。
ホスト単位で見ると絵はさらに厳しくなります。クロール対象の133,605ホストのうち、1本でもURLが開いたのは34,827だけでした。残る98,778ホストは全滅です。
年別の集計には落とし穴があります。2011年のURL単位では、開かなかった割合が92.5%まで跳ね上がります。原因は1アカウントによる一括生成でした。
pelaphptutorials.com宛のリンクが83,398本あります。このホストを1件として数え直すと61.7%まで下がり、2010年や2012年と並びます。生のリンク数は利用者数の推移として読めません。
これは自分に関係ある?
- 記事や資料でURLを引く人: この調査では10年以上前のリンクの76.7%が開きませんでした。引用元の要点を自分の言葉で書き残しておけば、リンクが死んでも中身は残ります。
- 短縮URLを使っている人: 0.mkの記録には、別の短縮サービスを指す短縮リンクが4,478本あります。Googleが2025年にgoo.glを終了したため、その分は鎖の途中が抜けました。
- 地域のニュースを読む人: リンク先にはA1テレビ(2011年閉局)と、2017年に発行を止めたUtrinski Vesnik・Dnevnik・Vestが並びます。地方の報道は、消えると代わりが見つかりません。
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