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AIの答えは3年で似てきた 論文が68モデルの出力の多様性を測る

3行まとめ

  • AIの試験は答え合わせできる問題に偏り、開かれた課題での変化は誰も測っていませんでした
  • 論文は3年分68モデルの出力を測り、多様性の有意な低下を報告しています
  • 低下が続けば、人とAIの共同作業で人の主体性が削られると論文は書いています

何が起きたか

Duke大学の研究者4人が、2023年3月から2026年7月までに公開された68モデルに同じ課題を出しました。提供元は12社で、重みを公開したモデルが34本、非公開が33本です。

課題は2種類あります。1つは代替用途課題で、本・靴・ハンマーの変わった使い道を挙げさせます。もう1つは Infinity-Chat100利用者がAIへ送った開かれた依頼から100問を選んだ問題集。創作・別の文体での執筆・情報探索・ブレインストーミング・アイデア出しにまたがる6分類を含みます。用語集でこの語を見る の100問で、利用者が実際にAIへ送った開かれた依頼を集めたものです。

論文は、提供元の違うモデルどうしの答えの距離が年を追って縮んだと報告しています。代替用途課題では最初の区間の約0.50から、直近の区間では0.40を下回りました。査読前のプレプリント査読を通る前に公開された論文の原稿。第三者の検証は済んでいません。用語集でこの語を見るで、著者自身が予備的な分析と書いています。

なぜ難しい・何がすごいか

AIの試験は、答え合わせができる問題に偏っています。MMLU や SWE-bench は、正解の基準が決まった問題でモデルを採点します。開かれた課題では、正しさよりも新しさと幅が問われます。

同じ主題を扱った研究はすでにあります。ただし、ある時点のモデルを切り取ったものばかりで、時間を追った分析は無かったと論文は書いています。既存のベンチマークの記録からも、多様性の変化は逆算できません。

理屈の上では、逆向きの力が2つ働きます。重なりの大きいデータで学び、似た目標に最適化されたモデルは、概念の整理のしかたまで似てきます。

反対に、モデルが賢くなるほど文脈や分野に合わせた答えを返せるので、似かたは打ち消されます。どちらが勝つかは、測るまで分かりません。

たとえ話

アイデア出しを5人に頼んだとします。5人が別々の街に住み、別々の本を読んでいれば、返ってくる案は散らばります。全員が同じ課題図書だけを読んでいると、案は似た形に寄ります。

一つひとつの案はよく書けているので、頼んだ側は不満を持ちません。それでも選べる幅は狭まります。論文が測ったのは質ではなく幅です。

用語ミニ辞典

  • 代替用途課題(Alternate Uses Task): 本・靴・ハンマーのような身近な物の、ふつうでない使い道をできるだけ挙げさせる課題。認知心理学が発散的思考を測るのに使ってきました。
  • Infinity-Chat100: 利用者がAIへ送った開かれた依頼から100問を選んだ問題集。創作・別の文体での執筆・情報探索・ブレインストーミング・アイデア出しにまたがる6分類を含みます。
  • 文埋め込み: 文章をベクトルに変換する仕組み。意味が近い文は、近い向きのベクトルになります。
  • コサイン距離: 2つのベクトルの向きのずれ。0に近いほど意味が近く、大きいほど離れます。
  • プレプリント: 査読を通る前に公開された論文の原稿。第三者の検証は済んでいません。

技術者向けの深掘り

手法は文埋め込みどうしの距離です。論文は all-MiniLM-L6-v2 で回答をベクトル化し、同じ設問への回答どうしのコサイン距離2つのベクトルの向きのずれ。0に近いほど意味が近く、大きいほど離れます。用語集でこの語を見るを取りました。生成時の temperature と top-p はどちらも1.0です。

論文は27の公開月を古い順に並べ、3つずつ9区間に束ねました。提供元の違う組み合わせだけで平均距離を取り、区間番号に対する最小二乗回帰を当てています。

傾きは代替用途課題で1区間あたり−0.01385でした。95%区間は−0.01695から−0.01044です。Infinity-Chat の傾きは−0.00167で、95%区間は−0.00267から−0.00074でした。

系列ごとに1体を選ぶ再標本化を1,000回繰り返し、1,000回すべてで傾きが負になりました。測っているのは埋め込み空間での意味の近さで、文の構造や語の重なりは見ていません。蒸留や学習データの重複も切り分けられていません。

論文は自ら予備的分析と呼んでいます。公開月を時間の代わりに使うため、結果は関連であって因果ではないと断っています。

規模も前提にあります。論文は2025年7月時点の ChatGPT を週7億人超が使っていたと引いています。1日のメッセージは25億通を超えていました。

これは自分に関係ある?

  • AIにアイデアを出させる人: 一つの案の質は落ちていません。提供元を変えても案が似てくることを論文は測っています。
  • モデルを使い分けている人: モデルを替えれば別の視点が来る、という前提が弱まります。距離の縮みは直近の区間でも続いています。
  • 評価を作るエンジニア: 正解が決まる指標では、出力の似かたが見えません。回答どうしの距離を測る指標を別に用意する必要があります。

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